キャビテーションとフラッシング
コントロールバルブへの悪影響の中で最も大きなものの1 つにキャビテーションとフラッシングがあげられます。これらの現象は騒音や振動を発生し、バルブ本体や付近の配管に損傷を与えたり、バルブのサイジングに大きな影響をおよぼします。
適切なバルブを選定するためにはキャビテーションおよびフラッシングの影響について充分理解する必要があります。
➔ 発生のメカニズム / 圧力損失および圧力回復
◎ 発生のメカニズム
■ 気泡の発生(Cavity)
液体が弁のシート部通過直後に、流速(U)が最大となり圧力(P)は低下します。(右図)
液圧が、その蒸気圧(Pv)以下になると、沸騰 しはじめ、ベーパーの気泡が出来ます。この場合の蒸発は温度が上昇して起こる通常の蒸気発生ではなく、Pv より流体の圧力が低下したことによる沸騰です。
■ 気泡の圧潰(Cavitation)
バルブ通過により低下した圧力が、下流側で次第に元にもどり始めると気泡は再び圧縮され潰れます。
この急激な気泡の圧潰のため、発生したエネルギーが周囲に放射され、バルブ本体や配管内壁に衝突して激しい機械的損傷を引き起こします。衝突する際の力は700MPa にも達すると考えられます。
その際15 ~ 10000Hzにわたる広範囲の周波数の騒音を発生させます。この現象による損傷をキャビテーションエロージョン(Cavitation Erosion)と呼んでいます。
■ フラッシングによる流量の変化(Flashing)
弁通過でPv 以下となった流体の圧力が下流側でPv まで上昇しない場合、出口側はフラッシングの状態になります。
液体の一部がベーパーとなって比容積が増加し、塞流状態となるのでバルブを通過する流量がに比例しなくなり、差圧が増加しても流量が増えない状態となります。
◎ 圧力損失および圧力回復の状態
下記の図は、バルブ内を流体が通過する際の圧力変化、すなわち圧力損失および圧力回復の状態を示したものです。