株式会社本山製作所

栗本鐵工所

技術情報

トリムの材料

トリムの材料

調節弁におけるトリムとは、バルブプラグ、ケージ、シートリング、バルブステムを言い、バルブの心臓部にあたるところです。トリムは直接流体に接すると同時に流体エネルギーの変化を受けるため、キャビテーションやフラッシングの影響の最も多いところです。
従って、一般に本体材料より一段グレードの高い材料を選定する必要があります。
標準的に使用される材料としてはSUS304(SCS13A)、SUS316(SCS14A)ステンレス鋼があげられます。
流体差圧-温度が高い場合や、キャビテーション、フラッシングなどの恐れがある時、
スラリーを含む流体の場合は、硬化処理が必要になります。

➔ 硬化材料の種類 / CoCrアロイ溶着硬化処理

◎ 硬化材料の種類

■熱処理硬化
析出硬化材SUS630 ステンレス鋼: 耐食性はSUS304 と同程度で使用温度限界は、
-20 ℃~+400 ℃です。

SUS440B ステンレス鋼: 使用温度限界は、-20 ℃~+400 ℃です。

■溶着硬化処理
CoCrアロイ: Co、Cr、W の合金で、その特長は高温においても硬度・強度が大きいこと、酸化されにくい こと、摩耗係数が比較的小さいこと等です。
従って、高温高差圧用の溶着硬化処理材料として最適です。(CoCrアロイは、従来ステライト®の名称で記載していましたが、一般名称に変更しました。)

■化学的硬化
アトムロイ:金属の表面にW、Mo、Cr、Co、V、Ti 等を高温で拡散浸透させ、超硬合金層を形成するものです。 内部層はその母材の物理的性質(靱性その他)のままで、表面層のみを
1. 高硬度
2. 耐摩耗性 
3. 耐焼き付き性
を向上させます。
但し、表層の合金層は炭化物を含んでいるので強アルカリ、強酸以外に使用します。

■溶射による硬化
セラミックス溶射:ボデー内面にセラミックス(Al2O3)を溶射しセラミックス層を形成することにより、耐摩耗性を飛躍的に向上させます。

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◎ CoCrアロイ溶着硬化処理

トリム部の弁座面は高い耐食性と耐摩耗性を要求されます。この厳しい条件をみたす為、一般的な方法として、弁座面に異種金属を溶着し表面硬化を施行しますが、その代表的な金属がCoCrアロイ(Co-Cr 合金)です。
CoCrアロイは硬度が非常に高く、耐食性・耐摩耗性に優れ、赤熱状態においても硬度が低下しない特性をもっています。従って、ますます高温・高圧化が進むパワープラント・ケミカルプラントなどの弁座溶着材料として不可欠な金属です。

下図は3800形シリーズのグローブ弁でCoCrアロイ施行を必要とする目安を表したものです。
A :CoCrアロイ不要  B :CoCrアロイシート(ST-S)  C :CoCrアロイフェイス(ST-F)
D :CoCrアロイフェイス+ガイドブッシュ・ガイドポストCoCrアロイ(ST-F+GPS)
E :CoCrアロイシート+ガイドブッシュ・ガイドポストCoCrアロイ(ST-S+GPS)

1. オンオフ用弁座及び完全閉止(T.S.O.)のスロットリング制御用弁座はCoCrアロイシート以上の処理となります。
2. フラッシング流体の場合は、CoCrアロイフェイス以上の処理となります。
3. 流体の種類にかかわらず、+350 ℃ 以上では、ガイドブッシュ及びガイドポストにCoCrアロイ処理を行います。
4. 飽和蒸気でP1 = 0.7MPaG(7 kgf/cm²G)以上の場合、CoCrアロイシート以上の処理となります。
5. フラッシング、キャビテーションサービス及び飽和蒸気には、温度-20℃~+400℃の範囲内でSUS440Bが最適です。
6. 回転弁、ケージ弁は硬化処理基準が異なります。詳しくは、それぞれの製品カタログを参照下さい。